日本語はどこからきたのか・大野晋著・中公文庫から
「朝鮮語は一五世紀までさかのぼる資料しかありませんから、これらをもっと古い時代について確実に証明することは非常にむずかしいのです。
最近、朝鮮語で日本の「万葉集」が読めるという本を書いているひとがありますが、古代朝鮮語の実際のすがたはわからないのに、それと「万葉集」とを比較し、こまかい点まで朝鮮語で決めることなど、もともとできないことです。それに、発表したひとは、言語学や古い言語を解釈していくうえでの、基本的な方法をまったく知らず、古代日本語の知識もなくてただ自分の想像を主張したもので、学問的な価値はないものでした。」
というように、「万葉集は古代朝鮮語で読める」を批判しています。日本語も朝鮮語も共にアルタイ語族ですが、対応する単語があまりにも少ないそうです。そして、対応する単語や文法に関しては世界の言語の中でタミル語が最も多いとのことです。和歌の五七五七七というスタイルも確かにタミルのサンガムにそっくりです。
歴史を言語学から見るということは、ぼくは今まであまり考えませんでしたが、説得力があるのに驚きました。考古学や文献史学と同等の力を感じるこの頃です。
次回は日本書紀や古事記における「日神」と「天照神」は同根ではなくそれぞれ違う二系統の伝承を反映したということについて、述べたいと思います。
2009年2月16日月曜日
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