「アルディ」はエチオピアの大地溝帯で発見された440万年前のアファレンシス前の女性の骨化石につけられた名だ。この近辺は火山活動の堆積物のためにこうした化石を発見しやすい場所であり、数々の人類化石が発見されている。
その発見の中でもアルカディは群を抜いている。類人猿と人類をつなぐミッシングリングの一つと考えられる。この地帯の森林からサバンナへの移行に伴って、樹上生活から地面に降り立ったために二足歩行となったという定説も覆す。
リーラーで注目するのは他の類人猿と違い、犬歯がとても小さいことだ。
類人猿の犬歯が大きいのは、メスを巡るオス同士の戦いのためだが、この化石人骨は犬歯がチンパンジーよりも数倍ほども小さい。ということは、メスが犬歯の小さなオスを選ぶ傾向にあったからだろう。犬歯が小さい、ということは穏和であるということだ。穏和なオスが選ばれ続けられたために、進化の過程で犬歯が小さくなったということだ。動物の犬歯の大きさやツノの大きさは、補食動物でないかぎりオス同士の闘争のために発達したものである。
生物が存続し続けるということは、生活環境に適したオスとメスのコンセンサスが必要だ。
生存に適さない種は当然、自然淘汰され絶滅する。
リーラー的な結論から言うと人類は進化の過程で、自然環境の中で種の保存のために、最も能率の良かった「穏和・平和」を手に入れたのだろうと推測される。
となると、ボノボとチンバンジーの犬歯の大きさが気になるところだが、彼らが進化論的に別れたのは多く見積もってもたったの数十万年にすぎないから、犬歯の大きさにさほどの差はないだろうが、百万年もたてば人類のように犬歯が小さくなる傾向がみられるだろう。人類の犬歯は小さい、人類はもともと平和愛好家である。動物行動学や精神病理学から、人類が基本的に暴力的な存在であるという説が出されているが、どうだろうか、それは人類のつい最近の姿しか見ない近視眼的推論にすぎないだろう。アルディの化石人骨がそれを立証した。リーラーは、やはり間違ってはいない、アルディの発見はそう確信できる大発見だ。
2009年11月24日火曜日
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